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最高裁判所第二小法廷 昭和34年(あ)1266号 決定

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人両名の弁護人吉田安の上告趣意第一点について。

所論は、単なる法令違反の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(公職選挙法二五二条三項は、裁判所は情状に因り、執行猶予期間中も選挙権及び被選挙権を停止しないことができ、また法定の停止期間を短縮することもできる旨定めているのであって、刑の執行猶予の期間を超える短縮期間を定めることは、執行猶予が取り消されることあるを予想しその場合に備えて法定の選挙権及び被選挙権の停止期間を短縮する趣旨と解すべきであるから原判決に所論の違法はない。)

同第二点は量刑不当の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても、本刑につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は、公職選挙法二五二条の合憲性につき裁判官池田克の少数意見ある外、裁判官全員一致の意見によるものである。

裁判官池田克の少数意見は、次のとおりである。

第一審判決が適用した公職選挙法二五二条の規定は憲法一四条一項、一五条三項、四四条但書の各条規に抵触し違憲、無効である。従ってこの限りにおいて第一、二審判決は破棄されなければならない。(その詳細は昭和二九年(あ)第三〇四五号同三〇年五月一三日第二小法廷判決における少数意見、集九巻六号一〇二三頁参照)

(裁判長裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一)

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